14人が本棚に入れています
本棚に追加
「っあああっ、はぁっ、ふぁ……!」
背から回されるジュピターの指先が水を跳ねあげる音を立てる。
身体を何度も突き抜けていくえもいわれぬ感覚にうち震えながら、力が入らない手でジュピターの腕を制そうと試みるも、熱に浮かれるリーアの目に届いたのは、容赦のない光をたぎらせるジュピターの瞳。
「だめだよ、逃がさない。
何度も警告したでしょ、逃げて……って」
「…………!」
ジュピターはそうして逃げ腰になるリーアの腰を引き寄せ、ゆっくりと沈めさせた。
「あああん、ああっ、ふぁああ……っ!」
リーアの疼く身体にふわりとした浮遊感が走り抜け、未知の感覚が一気に背から駆け上がっていく。
「――――っ、あ……!」
一際高い波にさらわれるようにして数回波打つと、一気に気だるさが身体を覆ってゆき、リーアはだらんと脚を投げ出した。
そこでようやく解放されたリーアは脱力したまま、背のジュピターにもたれかかり、涙に浮かせる顔を彼へと流した。
「……はっ、はぁっ……」
肩で息するも、声は出せずにいるリーアの身体をふわりと包み込むものがあった。
「…………リーアちゃん、ごめん……抑えが利かなかった……」
拗ねるようにしてそうっとリーアに甘えてくるジュピターは、まるで子供みたいにびくびくしながらそう言った。
聞けば、リーアに口移ししたチョコレートに媚薬が入っていたらしい。
むすっとむくれたリーアはうなだれるジュピターに向かってこう言った。
「来月はしっかりお返ししてあげるから、……楽しみにしてて」
目を据わらせて笑うリーアの姿にジュピターが背筋を一気に寒くして、謝り倒したことは言うまでもない。
Fin.
最初のコメントを投稿しよう!