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『篠原さんへ
男の私が、男性である貴方を愛してしまって、本当に御免なさい
でも、耐えられない
貴方に拒絶された私はもう、生きていられない
さよなら
水鳥』
そう書かれていた。
この白骨は、男性の様だ。
そして『水鳥』と、いう名前には記憶が有った。
幼き頃の家庭教師
そう言えば、ここで琴の音が聞こえる様になってから来なくなった。
優しくて、美人な、水鳥先生
水鳥先生は、篠原を愛していたんだね。
そして、篠原も…
だから、遺体をそのままに
鍵を大事に持ち歩いていたんだ。
なぜ、拒絶したのか解らないが…
そうか、私の片想いだったんだね。
私は、水鳥先生の髪に口付けた。
「それでも私は、貴方を愛しています」
そう告げた。
それから、篠原を水鳥先生の隣に運び
篠原の小指と、先生の骨を赤い糸で繋いであげた。
妬けるけど…
好きな人には幸せになって貰いたいから
そして、扉を締めると鎖を巻いた。
鍵は、土の中に埋めた。
そして、その部屋は永遠に開くことはないのだ。
美しい琴の音色は、もう聴こえない。
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