一章

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それは、複数の金属の板。 光る杖の周囲に浮かび、わずかに上下する。 思わず杖から手を離すが、杖は空中で静止している。 『攻撃シーケンスの追加パーツを召喚』 杖を囲むように配置されたパーツ郡、その一つが外神の目の前に来た。 「っと……なんだ」 『手に取れ』 大きさは5センチ程度の金属パーツ。 接続端子が付いていて、見た目はUSBメモリのよう。 『VXドライバに接続するんだ』 「接続?」 どこに、と左手を見ると、答えるようにVXドライバが展開した。 スライド部分が土台から起き上がり、大きく口を開ける。 奥の方に接続スロットの光が見える。 「ここに入れればいいのか」 慎重に、スライドの隙間の接続スロットに、金属パーツを差し込んだ。 同時に、接続確認音にしてはやや派手なSEが響く。 隙間から手を抜くと、スライドは静かに閉じ、元の形に戻った。 外神は左手を杖へと伸ばし、VXドライバへ手をかける。 (行け!) 顕装のときと同じように、スライドを引いた。 『攻撃シーケンス:起動 剣形態(ブレイドフォーム)へ移行』 スライドに声が応じた瞬間、周囲を浮いていたパーツが杖にぶつかった。 金属同士を打ち鳴らす音を立てて、変形が始まる。 ストック部に薄い金属板がぶつかり、両刃を作る。 十字のヘッドとグリップにパーツが接続され、巨大化する。 『移行完了:剣形態』 声が響いたとき、杖は一ふりの剣になっていた。
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