一章

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『――』 まさに警戒、という表情を浮かべた少女の前で、影が両の指を絡ませる。 人間と同じ五指を絡めつけ、祈りを捧げるようにした両手を、 (あいつ……!) 一息の動作で高々と掲げた。 3m超の巨体が、凶器と化した両腕を振り下ろす。 「やめろ!」 外神が反射的にそう叫んだのと、巨体の拳が少女に叩き付けられたのは同時だった。 華奢な白に膨大な黒が激突。 だが、超重量の打撃を受けたように見えた。 少女は変わらずそこに立っている。 彼女が体の前で握りしめている、金属板を組み合わせたような白杖。 その頭部に納まる蛍光灯のようなパーツが光を放っていた。 光は彼女を囲むような円柱状の膜となり、巨体の攻撃を受け止める。 「SFか……」 杭打ちのような一撃を受け止めた光を眺めていると、鏡に映る少女の視線がガラスに走った。 ガラスの反射越しに、その様子を凝視していた外神と目が合う。 「……」 『……』 (きれいだ……) 思わず、手を振ってみる。 『――!』 少女の口が動き、丸かった目が更に見開かれた。 言葉は聞こえないが、表情から読み取れる感情は驚きのそれ。
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