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『――』
まさに警戒、という表情を浮かべた少女の前で、影が両の指を絡ませる。
人間と同じ五指を絡めつけ、祈りを捧げるようにした両手を、
(あいつ……!)
一息の動作で高々と掲げた。
3m超の巨体が、凶器と化した両腕を振り下ろす。
「やめろ!」
外神が反射的にそう叫んだのと、巨体の拳が少女に叩き付けられたのは同時だった。
華奢な白に膨大な黒が激突。
だが、超重量の打撃を受けたように見えた。
少女は変わらずそこに立っている。
彼女が体の前で握りしめている、金属板を組み合わせたような白杖。
その頭部に納まる蛍光灯のようなパーツが光を放っていた。
光は彼女を囲むような円柱状の膜となり、巨体の攻撃を受け止める。
「SFか……」
杭打ちのような一撃を受け止めた光を眺めていると、鏡に映る少女の視線がガラスに走った。
ガラスの反射越しに、その様子を凝視していた外神と目が合う。
「……」
『……』
(きれいだ……)
思わず、手を振ってみる。
『――!』
少女の口が動き、丸かった目が更に見開かれた。
言葉は聞こえないが、表情から読み取れる感情は驚きのそれ。
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