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そして、破砕の音を背負 いながら“戦士級”が振り返る。
「おい、」
「なに?」
外神は少女の背中を軽く叩いて注意を向けさせる。
「今のあいつの攻撃、君なら受け止められるか」
「今は無理。あと、“戦士級”は君を狙ってるからね」
当たり前でしょ、とでも言いたげに少女は言い放つ。
その丸投げの態度にため息が漏れ出てしまった。
「じゃあどうすればいい」
「君がやるの」
え、と言った視線の先。
杖が光を放った。
杖のシルエットがぼやけるほど強い光を放ち、音もなく砕けるように宙に散っていく。
手ぶらになった少女は左手に嵌めていたたグラブを外し、
「使って」
外神に投げてよこした。
(使う……?)
言われ、外神は見る。
渡されたのは茶色い革製のグラブ。
分厚い皮を なめして作られたのか、頑丈そうだが手触りは驚く程柔らかい。
指先がカットされているが、だれかの趣味だろうか。
だが、気になるのはそこではなかった。
「なんだこれは」
手の甲から手首の方に伸びていく部分。そこに、仰々しい金属製のパーツが鎮座していた。
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