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『顕装、発動』
白光が視界を塗り潰し、思わず外神は目をつむる。
その耳に、
『私は……!!』
男の声が響いた瞬間、スイッチが切れたように光が消える。
代わりに、外神の眼前に別のものが現れていた。
「杖……」
白一色で塗装された、1メートル程の棒。
少女が持っていた杖より長く、デザインも異なる。
武骨で武器然としていた少女の杖より、細身のシルエット。
少女の杖で蛍光灯のようなパーツが付いていたヘッドには、十字の装飾。
儀礼で振られるような優美さを備えた杖は、誰の手にも捕らわれずに自立していた。
「これが顕装……」
思わず呟くと、
「前見て」
注意と同時、“戦士級”が来る。
外神の顔面をめがけて、巨槌と化した両拳が落ちてくる。
『ーー手に取れ。私を』
「……!」
彼には、その声が誰のものなのか、どうなるのかを理解できなかった。
ただ降り下ろされる殺意に対し、反射的に杖のグリップに指をかける。
胸元に引き寄せ、繊細に感じる細身の杖を握った瞬間、打撃が激突した。
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