一章

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「ずいぶんナチュラルに喋るんだな」 『君も少しずつ順応しているようだな。いいことだ』 杖の声は音質の悪いスピーカーから流れているのか、少し割れている。 とにかく、と話す杖の口調は滑らかだ。 『まずはこの状況を終わらせよう』 「逃げるんだな」 『否。倒すんだ。“戦士級”を』 「俺が、か!」 「他に誰がいるの?」 少女が混ぜっ返す。 『そうだ、君だ外神。君が、私を使ってだ』 (こいつ、俺の姓を……) 蹴りを放った“戦士級”が体勢を直して、外神めがけて走り出す。 『君だけなら“戦士級”に抵抗することすらできないだろう。私だけでもそうだ。だが、君と私なら、そうとは限らない』 “戦士級”が迫る。 だが今度は、外神は確信を持って突進を避けた。 “戦士級”の動きが見える。 攻撃しようとする意思が理解できる。 どうすれば避けられるかが分かる。 そして、思った通りに体が動いていく。 『私を使え。丁寧に粗雑に最大限に私を使え』 高速の交差で、両者の位置が入れ替わる。 (俺はもう同じものって、こういう意味なのか……?) 『一緒に敵を倒すんだ!』 改めて杖を握り直した外神は、“戦士級”と数度目の対峙をした。
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