一章

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打撃を受けた左腕が跳ね上がった。 猩々(しょうじょう)のような巨体が、腕に引っ張られて上に伸びていく。 前傾姿勢だった“戦士級”の背筋が反り返るのを見て、外神はダッシュした。 “戦士級”の膝に足を乗せ、一気に体を引き上げる。 巨体の服を掴んで肩へと飛び乗り、杖で顎を打ち抜く。 鉱物を叩いたような感触に、思わず顔をしかめた。 だが、続けて打撃を加える。 四度打ち据えたところで、“戦士級”の右腕が上がった。 五指は緩く開かれ、狙うのは肩に乗る外神の足。 捕獲しようとする動きだ。 それを杖で牽制しつつ、肩を蹴って空中へ躍り出る。 全身にかかる浮遊感の中、外神の視界はあるものを捉えた。 外神の視界が見下ろす先、“戦士級”が左肩を前に突き出した。 右の半身を後ろに残し、右に拳を作った。 「あれは……」 待ち構えている。 外神の体が落ちてくるのに合わせて、カウンターのアッパーカットを放つのを。 “かかったな” 物言わぬ紅い眼が、まるで笑うように爛々と外神を見上げた。 一瞬、外神の体は空中で静止した。 落下する。 『構えろ。目を逸らすな』 言われるままに、杖を胸の前で構える。 迎え撃つ“戦士級”のアッパーが、カウンターで杖のグリップに放たれた。
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