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打撃を受けた左腕が跳ね上がった。
猩々(しょうじょう)のような巨体が、腕に引っ張られて上に伸びていく。
前傾姿勢だった“戦士級”の背筋が反り返るのを見て、外神はダッシュした。
“戦士級”の膝に足を乗せ、一気に体を引き上げる。
巨体の服を掴んで肩へと飛び乗り、杖で顎を打ち抜く。
鉱物を叩いたような感触に、思わず顔をしかめた。
だが、続けて打撃を加える。
四度打ち据えたところで、“戦士級”の右腕が上がった。
五指は緩く開かれ、狙うのは肩に乗る外神の足。
捕獲しようとする動きだ。
それを杖で牽制しつつ、肩を蹴って空中へ躍り出る。
全身にかかる浮遊感の中、外神の視界はあるものを捉えた。
外神の視界が見下ろす先、“戦士級”が左肩を前に突き出した。
右の半身を後ろに残し、右に拳を作った。
「あれは……」
待ち構えている。
外神の体が落ちてくるのに合わせて、カウンターのアッパーカットを放つのを。
“かかったな”
物言わぬ紅い眼が、まるで笑うように爛々と外神を見上げた。
一瞬、外神の体は空中で静止した。
落下する。
『構えろ。目を逸らすな』
言われるままに、杖を胸の前で構える。
迎え撃つ“戦士級”のアッパーが、カウンターで杖のグリップに放たれた。
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