一章

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学校からの帰りはいつも通りのルートを通り、普段と同じ交差点を曲がる。 登校時は静かだった商店街は、帰宅時になると活気のピークを迎えている。 近くにショッピングモールが無いからか、こういう商店街が未だに活気を失わないでいられている。下校時に買い物袋を提げた人で溢れているのもいつものこと。 その間をすり抜けるようにアーケードから脱出し、振り替えって一息つく。 朝通った道を逆行し、通学路にあるコンビニに寄って週刊紙をざっと漁る。 今日は好きな週刊紙の発売日に挟まれている谷の日。仕方がないから昨日発売された雑誌を軽く見ながら、明日発売される雑誌に胸を膨らませる。 隣で同じ雑誌に視線を落とすスーツ姿の中年とは、肘が当たらないように少し気を使う。 店内を一周して、90円の豆乳を買ってコンビニを出る。 いつもと同じことに満足感を感じ、口の端が上がっているのを感じる。 紙パックの豆乳にストローを挿して中身を一気に吸い、 (…………?) 「ずぞぞぞぞぞ!?」 彼、外神真言(とがみ まこと)が違和感に気付いたのは、異音を立てて空になった紙パックを吸っているときだった。
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