9人が本棚に入れています
本棚に追加
(今、何か……)
普段と異なる何かが、視界を走った。
違和感の正体を探して、思わず二、三度回ってみる。
片道二車線の交差点。その角地に立つこのコンビニは、車の往来が激しく、そのため巨大な駐車場が店の前に広がっている。
慌ただしく行き交う車の中に痛車でも見つけたのか、と思ったが、漫然と納得がいかない。
(また……!)
再び、同じ違和感が走る。
二度、三度。
豆乳の紙パックを握ったまま、外神はぐるぐると違和感の正体を捜し、
(……?)
唐突に一点を凝視した。
視線の先にあるのは、出てきたばかりのコンビニ。
店前面は一面ガラス張りになっており、傾き始めた日光を浴びて、鏡のように外の様子を淡く映している。
外神はその中に自分の姿を見つけ、背後を走っていく自動車の影を見る。
当たり前の光景を映しているガラスの中に、新たな闖入者が現れた。
方向は上から。
外神の右側、50cmも離れていない場所に、巨大な影が降ってきたのだ。
「ずぞっ!」
反射的に自分の横へ目を遣る。
しかしそこには、先ほどと同じく無人の駐車場が広がっているだけ。
最初のコメントを投稿しよう!