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「でも、急にぴたりと夜遊びとか止まってん。何なんやって訊いても『別に』って笑って言うだけで教えてくれんかった。私はちょっとずつやけど、心の傷が癒えてきたんかなぁって思って嬉しかってん。それから夏休み入って、どこか遊びにでも行こうって誘おうとしたら電話も通じないし、家行ったら引っ越してたからもうびっくり。先生にも口止めしてたから、行き先も全然わからんくて、ようやく突きとめたってわけ」 重い空気を断ち切るように明日香さんが明るく「よいしょ」とベンチから立ち上がってスカートの裾をひらりとさせてこちらに身体を向けた。 「また東京で荒れて不良になってるんちゃうかと思って来てみてんけど、いらん心配やったみたいやな。見た目も前より大人しくなってて、逆に落ち着いてて安心したわ。あんたのおかげなんかもね。ありがとう」 「え?いや、私は何も……」 本当に何もしていない。 お礼を言われることにむしろ恐縮していると明日香さんはクスリと笑みを溢した。 「翔平のことこれからもよう見といたって。あいつ、ああ見えて結構周りの人間のこと気にして、自分のことは抑え込むとこあるから」 「あ、あの、いつきさん?……って人は……」 明日来るという友人の名前が確か『いつき』だったはず。 彼の名前に反応した翔ちゃんの様子を思い出した。
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