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「ちょ、ちょっとま……」
「無理」
腕を突っ張って逃げようとする私を強引に押し倒す翔ちゃん。
背中にラグマットの感触を感じるとともに、上に覆い被さってくる男の身体に私はちょっとしたパニック状態に陥ってしまう。
え、ま、待って!
本当に全然準備できていないんだってば!
下着だって、今日は何度も着古した若干だらけたやつだし。
しかも、上下が揃っていない。
それに、正月太りで増えたままの体重で、おなかのお肉もポヨポヨで。
全然見られていい状態じゃないし、何よりセックスへの恐怖感が半端ない。
まだ誰ともしたことがないから、女子同士でそういう話を小耳に挟むことはあっても、未知の体験への不安と恐怖がある。
それなのに、いきなりこんな、強引にするなんて......
怖い!
「嫌だってば!」
と半ば恐慌状態で動かした腕。
それがあろうことか翔ちゃんの顔面に見事ヒットした。
私のエルボーを頬に受けた翔ちゃんは私の横に倒れて動かなくなって。
一瞬、死んだのかと思って、慌てて揺すってみたらちゃんと生きていた。
けど、その後、ゆらりと起き上がった翔ちゃんと大ゲンカになったのは言うまでもない。
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