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「ああ、樹は同じサッカー部やったうちらの幼馴染で同級生。翔平と一番仲良くて、あの事故の時も一緒に帰ってた。それが、翔平は大怪我、樹は擦り傷程度っていう結果やったから、ずっと翔平のこと気にしてて、急に転校した時もかなりショック受けてたから。一度会わせてやりたかってん」 明日香さんは足元に視線を落としながら呟いた。 もう一人の幼馴染。 親友の樹さんにすら翔ちゃんは転校のことも話していなかった。 「実は、樹から聞いたんやけど、ほんまは怪我しそうやったんは樹のほうやってんて」 「え?」 「車が突っ込む前、その正面にいたのは樹やってん。でも、翔平が咄嗟に突き飛ばして……庇ったらしい。だから余計に、樹は自分責めてんねん。『あいつからサッカー奪ったのは俺や』って。翔平が何も言わずに転校した後も、すっごい落ち込んでさ」 「そうなんですね」 「ほんま仲良かったから。それが、あの事故でギクシャクして。同じ夢目指してたのに、あの日で全て変わってしまったんよ。神様って残酷すぎるわ」 明日香さんが天を仰ぐように顔を上げる。 その囁くような声が切なく空に溶けた時、電車がホームへと入ってきた。
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