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い、いったい何なの?
よくよく考えたら米倉先生は翔ちゃんの担任の先生だし、田沼先生は私たちの学年主任。
どうやら翔ちゃんが絡んでいるようで、私が生活指導的にまずいことをして呼び出されたわけではないようだ。
なら、どうして当事者の翔ちゃんがいなくて私だけ先生に囲まれているんだろう。
話が見えずにおどおどする私に翔ちゃんの担任である白髪混じりの髪がダンディーな米倉先生が口を開いた。
「あいつ、先週からの補習をサボっているんだ」
「えっ?」
「このままだと成績がまずい。留年になるかもしれん」
「そ、そんなにまずいんですか!?」
うちはこのあたりの学校の中でも進学校で、毎年有名大学に合格する生徒も多いし、学業には力を入れている。
ついて行けない子は補習なり何なりに出るんだけど、それをサボっているなんて!
いつもHRが終わったら「みぃ、帰ろー」ってすぐ誘いに来るものだから、補習の存在なんて知らなかった。
「あいつは教師から言っても言うこと聞こうとしないからな。のらりくらり逃げて、いつの間にかいなくなってる。そこでだ!」
ダンッと田沼先生がテーブルを叩くから、ビクッと私は小さく跳ねあがった。
ただでさえ、強面なのに田沼先生はもっと眉間に皺を寄せて厳めしい顔をして言った。
「雨宮からも言ってくれないか?『補習に出ろ』と」
「はい?」
怒られる感覚で縮こまっていた私は、予想外の発言にまたまた目が点になる。
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