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「はぁ……」
「何、そんなに悩むこと?」
その日の昼休み、私は食後のオレンジジュースを片手に大きくため息をついた。
昼ご飯中、事の経緯を聞いてくれた千佳ちゃんが内緒で持ってきたポッキーを食べながら小首を傾げてくる。
「あんたの彼氏を放課後補習まで引きとめてりゃいいだけじゃない。っていうか、あんたの言うことなら本当に素直に聞くでしょうよ」
「そうじゃないんですよ、千佳さん」
多少、翔ちゃんもピーピー文句を垂れるだろうけど、それくらいなら私もそこまで悩まない。
問題はもっと別のところにある。
千佳ちゃんの隣でステンレスマグから温かなお茶を飲んでいたもう一人の親友、智ちゃんが察したように顔を上げた。
「まさか……ケンカ?」
私は智ちゃんの言葉に渋い顔でこくりと頷く。
付き合い始めて一ヵ月。
ただ今ケンカ中なのであります。
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