1422人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
口の端が切れているのに気がついて、右京は絆創膏を取り出した。
血がにじんでいる。
未だに眠りについているこいつは、怪我のせいで気を失っているのか。
それとも…
先程のあいつの言葉を思い出す。
次は守れたと言った。
右京「…………お前も、誰かを失った事があるのか…?」
右京は真白のさらさらな髪をひと撫でして、口の端に絆創膏を貼った。
そして、その上から優しいキスを重ねる。
真白「………ん…」
右京の唇が離れたとき、真白は瞳を開けた。
右京「起きたか。」
ふいと視線をはずし、右京はため息をつく。
右京「……何してんだよ。」
そして尋ねた。
右京「なんで、あのとき自分から殴られるような事したんだ?」
彼が自分を犠牲にした理由を。
真白「ん…え…えと…」
まだ起きて間もない真白は、うんしょとまず身体を起き上がらせて右京の問いの答えを考える。
真白「何でかと聞かれましても…」
だけど、解答が見つからない。
ただ、これだけは言えた。
真白「誰かが傷つくのは、見たくないです。」
最初のコメントを投稿しよう!