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右京「何も言わずに居なくなった事、………聞かないのか…?」
しばらくの沈黙があったあと、右京さんはそう尋ねました。
真白「………ほんとは、聞きたいです。」
それに、答えるけど…
何故か、むしょうに胸の辺りがぞわぞわです。
……聞きたいです。ほんとは、
だけど…
真白「でも、それは右京さんが言いたいって思ったときに…言って欲しいです。」
そう言うと、優しく笑ってくれた。
その笑顔で、何故か緊張の糸が切れたみたいに…
頬から涙が流れていく。
真白「う…ごめ…なさ…」
急いで頬をごしごしするのに、何故か止まってくれませんん…
そんな僕に、右京さんは近付いて…
腕をガシッと取られてしまいました。
隠すものがなくて…泣いてる顔をじっと右京さんに見られてしまいます。
右京「…………無理に擦るな。話聞いてやるから、…な?」
右京さんの優しい声に、びっくりするほど口から言葉が出てくる。
真白「この学校に…っ…慣れてきたって…思ってました…っ…だけど、皆悲しい思いしててっ…僕、…何も分からなくて…」
風見さんの悲しく笑う顔も。
咲真くんの恐い視線も。
………周りの刺々した空気全てが。
初めてで、どうにかしたいのに…出来なくて。
真白「どうしたら良いんでしょうか…っ…」
どうしたら良いかなんて、右京さんに聞いても解決しないのは分かってます。
だけど、右京さんにすがりたくて…
でも居なくて…
止まらない涙を見られたくなくて、俯こうとした。
……その時、
引き寄せられて、ぎゅっと抱き締めてくれました。
右京「悪かった。………不安にさした。」
真白「………違います…!右京さんは何も謝る必要なんて…っ…」
そう言うと、ぎゅってする手を強められます。
右京「……良いから。黙って謝られとけ。」
そう言って、頭をぽんぽんと撫でてくれて…
右京「もう急に居なくなったりしないから、……前に進め。ましろ…」
そう耳元で言われました。
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