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悪意なんてない。
ただ、彼は今までそれが普通だと言われていたから。
君は皆に愛されてる。
全て君が正しい。
甘い蜜の中に含まれている凶悪な毒。
それが彼の中を蝕み、今の彼が形成された。
藤咲「正直、笑顔がきっかけとなっただけで…本当はどうしてこんなにも咲真を思っているのか、分からない。」
だって、彼は毒に蝕まれていたとしても明らかに酷い。
それは多分、右京さんに咲真が一目惚れしてからだ。
……人を思う気持ちは、時に狂気へと変貌する。
藤咲「多分、咲真は君が羨ましくて仕方ないんだと思うんだ。」
驚いた顔でこちらを黙って見つめる真白くん。
…あっという間に人の心に入ってしまう彼。
右京さんも、真白くんを大切に感じてる。
当の本人は、なんで?って顔しちゃってるけどね。
藤咲「劣等感を初めて抱いた彼は、多分すごく混乱してるんだと思う。」
先程の咲真の顔が頭から離れない。
怒りと、軽蔑と、
そして、怯えが見えた。
孤独を感じて、怯えているように…って言っても、僕が勝手に感じただけだけど。
藤咲「どうしても、咲真に変わってほしいって顔を見るたび考える。だから、変わってほしい。それだけじゃ、ダメかな?」
真白「ダメなんかじゃ…ないですよ。ダメなんかじゃ、ないですっ…!」
藤咲くんの咲真くんへの気持ちを信じていたから。
とてもとても、嬉しくて。
勢いよく頭を振った。
そしたら、ありがとう。そう言われて、
柔らかい藤咲くんの笑顔が見えました。
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