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咲真「………許さない。」
溜まらず、積もり積もった憎しみが口から溢れる。
悠太まで、俺から奪っていくのか。
呟くように口にした言葉は、ビックリするくらい冷たく凍っていた。
怒りがピークを越えると、人は想像以上に冷静に変わる。
どうにかしなければ、
自分が壊れる。
……そう思った。
そして、ケータイを取り出し、自分を一番に考えてくれる数少ない人間に電話をかける。
咲真「あ、父さん?俺だけどさ…」
ずっと俺の近くで、一番に可愛がってくれた人。
事の成り行きを説明すると、ものすごく怒ってくれた。
やっぱり、俺は間違ってないんだな。
少し心配になってたことも、ちゃんと正してくれた。
そして、頼む。
咲真「あいつの会社を潰して、学校に居られなくしてよ」
俺の前に2度と顔を出す事の無いように。
俺から奪ったものを、手放すように。
……ずっと、やってきた手段。
慣れたように電話越しに動く父に、咲真はじっと待った。
ちゃちゃっと終わらせてくれる。
今待つだけだ。
すぐに、心は晴れる。
そう思っていたのに、
咲真「潰せないって…どういう事だよ…っ…!!」
父さんの言葉に、耐えず怒鳴った。
結局、憎き真白を潰すことは…
出来なかった。
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