作戦開始!

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ーーーーーーーーー 起きた時間は、けっこう日頃の疲れもあってかギリギリ学校が間に合うような時刻でした。 ベッドから起き上がり、そのまま真白は右京の部屋へと向かう。 だいたい右京さん、早起きするくせに二度寝しちゃいますから… 僕が起こさなきゃ、また右京さんが留年しちゃいます…!! そう思って、右京さんの部屋のドアノブに手をかけた時、 中で、右京さんの声が聞こえました。 そして聞こえる。僕の名前。 和泉の名前、そして…… ドアの向こうで淡々と返事をしている右京さん。 僕は、ただただ皆さんに知られてしまったと… それだけで、泣きそうになりました。 右京さんは、僕の事を軽蔑するでしょうか。 ぎゅっと…体の力が加わって、 そして開きかけたドアがそれによって開いてしまう。 右京「ましろ…?」 中にいる右京さんは、僕の名前を呼びます。 その声は、いつもの右京さんの声でした。 右京さんの少し低い甘くて、優しい声。 そしてハッとします。 右京さんたちは、僕の前にいた所の人達とは違う。 ちゃんと説明すれば、分かってくれる。 だから、大丈夫だと思って… 右京さんの前に出ようとしていたのに、 真白「右京さんの…顔…見たくないです。」 何故か、この人だけには知られたくなかったって。 分かってくれるとは知っていても、それでも… 知られたくなかった。 無意識に出た拒絶の声に、僕はまた違う涙が出ました。 今までと、確実に何かが違う涙。 その涙は何故か、いつもより静かで… それでいて、とてもとても残酷なように感じました。
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