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去った陽斗を見詰めて、右京はそのまま学校の用意にかかった。
陽斗が言いかけていた言葉。
それは何の言葉だったのか。
それも気になったが、今心にあるのは真白の怯えるような姿だった。
確かに陽斗の後ろから少し見えた身体は、怯えるように震えていた。
右京「顔を…見たくない……か。」
言われた言葉を、無意識に溢す。
その言葉でさえ、いとおしく思った。
秘密を持っていた真白。
その秘密を聞いて、抱えていたものを知って、
何より思った。
ずっと一緒にいたのに、何故助けてやれなかったのか。
その怒りが支配する。
でも、真白の態度をみて…自分の気持ちがひどく滑稽に思えた。
いつもいつも、そうだった。
気が付いたときには、周りの心がどんどん遠ざかる。
大事な人が消えていく。
それを最初に教えてくれたのは、顔も覚えてない小さなあのこ。
右京「ほんと、何やってんだか」
あの時に気が付いたのに、
人を思う気持ちが、どれほど残酷なのか。
人を好きになることが、どれだけ自分を傷付けるのか。
失いたくない。
消えても気付かないふりを続けてこれたのに、どうしてもそう思ってしまう。
嫌でも分かってしまう。
自分が、真白に気持ちを寄せてしまったこと。
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