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怒りに、満ちている瞳だった。
藤咲「………咲真、僕はずっと咲真と居るよ。」
僕がいる。
その言葉だけで、咲真が満たされるなんて思わないけど…
つい口にしてしまう。
咲真「何なんだよっ…!!!嘘をついちゃダメなんだからな…!!!お前も真白にそそのかされたんだろ…!!」
違うよ。
咲真「あいつが俺を一人にさそうとしてるんだろ…!!!」
そんなこと、してないよ。
それに僕は、
咲真を一人になんてしたくない。
咲真「なんかっ…言えよっ!!!」
ぐいっと胸ぐらを捕まれる。
言いたい言葉を言って、咲真は信じてくれるだろうか。
………多分、無理だ。
俺の言葉は、
きっと彼にとってなんの効力も持たない。
ずっと感じていた事が、今になって刺さるように痛い。
咲真が見ているのは、
………自分自身だけだ。
藤咲「咲真、いつかは…変わらなくちゃいけないんだよ。」
見詰めた瞳が、困惑で揺らいでいるように見えた。
咲真「うるさいっ…!!!!」
そう吐き捨て、逃げるように校舎に戻ってしまった咲真。
そんな咲真の後ろ姿を、ただただ見詰めた。
多分、もうすぐだと思う。
咲真を構成していた表面が、ボロボロと崩れてきたのを感じる。
あとは、
藤咲「真白くん……大丈夫かな…」
真白くんに、全てかかっている。
噂を流されている真白の心配をしながら、
藤咲もそのまま校舎へと戻ったのだった。
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