新しい一歩

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咲真「うるさい!!!うるさいうるさいうるさい!!!」 癇癪を起こしたように、咲真くんは僕を突き飛ばして、叫びます。 尻餅をついてしまって、すぐには起き上がれません。 真白「咲真くん、…」 言葉を、続けようとしました。 だけど、次には咲真くんが近づいてきて… 思いっきり上げた足を、僕へと向けてきます。 真白「っっ…!」 蹴られてしまうっ…と、身構えたとき、 藤咲「やめなよ。咲真。」 藤咲くんが、咲真くんの腕を引いて止めてくれました。 藤咲「真白くんの言葉に、向き合いなよ。咲真。」 掴んだ腕の力を強めて、藤咲くんは咲真くんに声をかけます。 だけど、 それが余計に…咲真くんの心を煽ってしまう。 咲真「やっぱり、悠太も真白に何か吹き込まれたんだな…」 咲真くんは、冷静になったのか… 怒りが、限界を超えたのか 落ち着きを取り戻し、ゆっくりとこちらに憎悪の瞳を向けてきました。 咲真「なぁ、真白」 近づいてきて、僕の目の前へと来る咲真くん。 そして、それは楽しそうに声を押さえて言葉を口にしました。 咲真「恋人じゃ無いんだよな?兄とは。でも、俺はちゃんと写真を持ってるんだよ。証拠のな」 ………やられた。 そう思いました。 固まった真白に、咲真は心底楽しそうに笑う。 咲真「事実がどうであろうと、皆に見せればきっと俺を信じてくれる。」 写真なんて証拠は、全部ふかちゃんに頼んで消してもらっていたのに。 何故…咲真くんが… 途端に感じる、体の震えと血の気が引く感覚。 咲真「もってこい!!!」 真白「っっっ…」 咲真くんの声に、僕は必死に止めようとしました。 だけど、体が動かなくて… ガラッと開く体育館の扉の音に、終わりだと感じました。
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