新しい一歩

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遠くからサイレンが聞こえて、 そして救急車と、それと何台か消防車がやってきて、 僕の目の前で、廃材を次々と撤去していきます。 お願いです。神様。 呆然とその様子を見ながら、必死に願った。 僕は、この二人が居なくなったら… 笑うことも、泣くことも、 上手く出来なくなってしまいます。 悲しくて、悲しくて 自分が自分でいられなくなってしまいます。 僕に、二人分の命の代わりは出来ないのでしょうか? そんな価値は無いのでしょうか…? それなら、何故、 真白「なんでっ…僕だけっ…!!!」 ようやく出た言葉は、それでした。 涙なんて、出ませんでした。 その時気がついたんです。 僕は、この二人が居なくちゃ… 泣くことも、 …………出来ない。 「生きてたぞ…!!!!!無事だ…!!!」 その時、一筋の光が指しました。 その声に、必死に立ち上がります。 行かなくちゃ…!そう思いました。 そうして、救急車の人達に担架で運ばれて来たのが… 足をひどく赤く染めた、楓にぃでした。 意識を失っていました、その顔は酷く冷たいようにかんじました。 でも、 ーーーーーーー生きていました。 ぽろぽろと、涙が流れます。 やっと、やっと泣けた…そう思いました。 そして、その足で廃材を撤去しているその場へ向かいます。 真白「しろっ…!!白も、白も生きて…!!」 必死に願って、隊員の人たちを押し退けます。 「やめなさい!!見ない方がいい!!!!」 そう、隊員の人達は必死に僕を止めて、 なんで、なんで白の所に行かせてくれないの…! って思って、 無理矢理、白の元へ向かいました。 そして、 隊員の人達の言葉の意味を……知ることとなりました。 真白「しろ…」 廃材が調度真上に落ちてきた白の身体は、 白の笑顔なんて思い浮かべれないくらい、酷くて、 吐き気がして、 でも、それ以上に… 潰れなかった白の手が見えて、 さっきまで僕を撫でてくれた手が、 僕に、なにかを伝えようとしているように見えたんです。
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