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此処、というのは…この学園の事で、
真白「………っ…」
つい、黙ってしまった。
右京「一瞬でも、逃れたいからこの学校に来て、そして…ましろの名から逃れたいから、茅野と名前を交換したんじゃないのか…?」
何度だって、強がったって、
右京さんには、バレてしまう。
一気に、涙が溢れた。
真白「そう…です…右京さんの言う通りです。」
全部、言う通りだった。
逃れたいって…
思ってしまった。
真白「ずっと悩んでいて、……だって、白はこんなこと望んでないような気がするから…」
白の笑顔を、裏切っているような気がして。
自分が自分じゃなくなっていって、
真白「そんなときに、ふかちゃんが僕を見つけてくれたんです。」
和泉の屋敷の隅で、ひっそりと泣いてる僕を。
メイドさん達から話を聞いていたふかちゃんは、僕にこの学園に来ないかと誘ってきました。
それが、救いの手なのか…甘い毒なのかは分からないけど…
手を、とってしまった。
真白「正直、この学校にいるのが楽しくて…現実じゃないように感じました。」
優しい皆さん。
僕を、真白として見てくれる皆さん。
まるで、僕が望んでいる幻想のような。
真白「でも、このままじゃダメだって思って、皆さんを騙しているような感じがして…っ…」
本当の僕を、受け入れて欲しいなんて…
なんて我が儘で、自分勝手なんだろう。
真白「だからっ…」
俯いてた顔をあげる。
そしたら、そこにはやっぱり幻想なんじゃ…って思うような、
そんな人達が、いました。
優しい、優しい瞳をして…
陽斗「話してくれてありがとぉっ」
陽斗くんと、凛さんと風見くんと咲真くんがぎゅーっと抱き締めてくれて、
僕は、もっともっと涙を流してしまいます。
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