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◆
待ち合わせ場所に現れた
黒のマセラティ。
厭味のない
そのフォルムを目にして
私は引き寄せられるように
歩き出した。
彼が降りてくる前に
自分で助手席のドアを開けて
倒れるように
車内に乗り込む。
「奈々緒?」
訝しげな声に
顔を上げる。
温人さんの瞳が
すっと細められた。
「どうした?
顔色が悪いな」
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