一.
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暮崎錠太郎(クレサキジョウタロウ)なる若い男が、自宅兼店舗となっている建物の裏庭で死体となって発見されたのは、雪の降り積もった寒い朝のことで。 庭には、雪にかき消されたのであろう、足跡の一つもなく。 ただ、紅い椿の花一つだけが、死体の右手、その傍らに、寄り添うようにして落ちていた。
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