第1話

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なんか…… 「後ろから見られてると嫌なんだけど……」 洗い物をしながら、お兄ちゃんの視線がやたら気になる。 普段は夕食後はお母さんがキッチンに立っていて、私はリビングでテレビ。 お兄ちゃんは帰りが遅いから、私が寝る頃に玄関のドアが開く音が聞こえてくる。 だから、こんな風に二人きりでキッチンにいることなんて、めったに……ううん、最近は全然なかった。 「あはは、美紅の後ろ姿可愛いなって思って」 「え!?」 思わず振り返る。 冗談にしても、私はドキドキしちゃうんだから、やめてよ。 「ちょ、美紅! 泡が舞ってるよ」 「わわっ、しまったっっ」 またシンクに顔を戻して洗い物再開。 もう、お兄ちゃんのバカ。 「い、妹に可愛いなんて言っても何も得しないよ」 「そぉ?」 「そうだよ!」 意味わかんない。 急にどうしたんだろ……。
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