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「ドカーーーンッッ!!!」
辺りには、濛々と白煙がたちこめ、もう何がなんだか分からなくなっている。
幸いに、舞台と観客である新入生達の間は、見えない壁が展開されており、被害はないのだが、壇上は悲惨である。
いつ晴れるとも知れぬ煙の中で、演者一同、大いにむせていた。
皆、涙と咳が止まらない。
「ゲホッゲホッ!だから火薬の量が多すぎるって言ったのに、会長は人の言う事聞かないんだから・・・」
悪の幹部は、一人。愚痴っていた。
その時、まばゆい光を放ちながら、舞台上に舞い降りる人影。
全員、固唾を呑んで見守る。神秘的な一瞬。
「この世に悪の栄えた試しなし!新入生をイジメル奴は、ヒーロー学園生徒会長である、このアリスちゃんが許さないぞ!」
「伝統の名に懸けて、おしおきよ!!」
視界が晴れてきて、先程からの声の主がハッキリしてきた。
美しくたなびく金の髪。身に纏う、白銀の鎧からは気高さを。手に持つハルバードは、雄雄しさを周囲に伝え。圧倒的なまでのオーラがこの場を満たしてる。
「おおおっ、スゲエっ」 「あれが変身か!」
思い思いの感想を述べる、新入生達。
自分達が憧れ、思い描いていた世界がそこにはあった。皆、実際のヒーローによる変身を見るのは初めてであろう。
「き!キサマどうして此処に!!ぇえい、飛んで火に入る夏の虫とは、お前の事よ!者共、出会え出会え!」
現れたヒーローを取り囲む、戦闘員達。
その中の一人が奇声を発して、左後ろの死角から隙を狙う。
「バキッ!!」
鈍い音が館内に鳴り響き、悪の手先は吹き飛んだ。
まるで、後ろに目がある様に。振り向きもせず、ヒーローは武器の柄先で攻撃したのだ。
敵は、観客との間にある絶対障壁にぶつかり。力なく崩れ落ちる。
大迫力の光景に、全員息を呑んだ。
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