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次々に刃を振るい、手向かう者共をなぎ倒していく。
攻撃の当たるインパクトの瞬間に、青白い稲光が炸裂する。まるで花火を地上で見ているかのように煌びやかだ。
すでに戦闘員の姿はなく、皆、地に突っ伏している。
「流石だな、ヒーロー!!だが、これならどうだ!この女を傷つけたくなければ、武器を捨てろ!」
生贄に連れて来た女性を人質に取り、脅しをかける、悪の幹部。
被り物をしているため分かりずらいが、どこか嬉しそうだ。
どうしたらよいか分からず、キョロキョロする志音。みかねて足元に寝ている戦闘員が、囁いた。
「もう少しで終わるんで、後は座って見ててください。」
うなずいて、言われた通りにする。
囚われの少女が叫ぶ。
「駄目よヒーロー!私の事は良いから、悪を倒して!!」
しかし、彼女の望みとは裏腹に。壇上の英雄は、その愛戟を床に置く。
「ワッハッハッハ!!流石に物分りが良いな!ムゥン!!」
エロ男爵・・・もとい、悪の幹部は。少女を優しく開放し、ポーズを取ると。両手の間に赤く光るエネルギー球体を作り出し、それをヒーローめがけて投げ放った!!
「ズドンッ!!」
やたら派手な音がしたが、どうやらそれは効果音の様である。
舞台袖にいる裏方の生徒が、小さくガッツポーズを決めていた。
攻撃を受けたヒーローは吹き飛んで、先程までの勇姿むなしく、ステージに倒れこむ。
あわれ英雄は、このまま敗れ去ってしまうのか!?
そこで、アナウンスが流れた。
「人質を取った、悪の汚い攻撃に。ぼくらの生徒会長が大ピンチだ!!会場のみんなの声援で、元気を分けてあげよう!」
凍りついた空気が会場内に立ち込める。
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