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「・・・死ぬかと・・思った・・」
見事、即死性の攻撃を耐え切ったエリックは、そうつぶやいた後。膝から崩れ落ちた。
彼の足元には直撃に耐え、吹き飛ばされそうになるのを、必死に堪えた跡が見える。優に2メートル近く、コンクリートが剥がれていた。
戦闘員役のクラスメイト達が、慌てて舞台袖から出てきて叫んだ。
「おい!大丈夫か。」 「しっかりしろ!!」 「傷は浅いぞ!!」
皆、心配して駆けつけたのだが、彼の返答はこうだ。
「あれ、女の子はいないの?」
リチャードが聞く。
「お~いどうだ?相変わらず馬鹿か?」
「はい、馬鹿です。」
仲間の一人がそう答えた。
すでにエリックの変身は解け、ダランとしている。
脇を抱えられて、保健室に連れて行かれる途中にも、何だかブツブツ言っていたが、どうやら、命に別状は無いようだ。
一人、壇上のアリスは変身が解け、ようやく正気を取り戻す。
周囲を見渡して、惨状にやっと気づいた彼女は、マイクを要求したのだった。
何を話すのだろうと、皆、聞き耳を立てる。
短い沈黙。
「こほん・・・え~っと・・・アリス、やりすぎちゃった!!えへっ!」
本人はいたって明るいが、新入生達は戦慄したままだ。
どよめく館内。リチャードが事態の収拾に入る。
「あ~っ諸君。新入生歓迎会はこれにて終了だ。各自、教室に戻って欲しい。」
先程までの激闘の余韻冷めやらぬまま、解散となった。皆、淡々と足を運ぶ。
「あと、お前は職員室に来い!今度は始末書だけじゃすまさんからな!」
「ハァ~イ、すみませ~ん。」
反省の弁を述べ、縮こまるヒーロー。先だっての勇姿が、形無しである。そこに、ミリヤが駆け寄ってきた。
「アリスちゃん!!スゴイ、スゴイよ!とっってもカッコよかった!!」
「ん~っ、ありがとうミリヤちゃん!」
興奮するミリヤと、抱き合って喜ぶアリス。
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