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「しかし、厳しい審査基準をクリアして、ヒーローになれる人は稀です。でも、もしかしたら、みんなの中から。ニューヒーローが、出て来るかもよ!?」
わあっと、色めき立つ子供達。その中で、メガネをかけた利口そうな男の子が質問した。
「でも、平和になったのに、何でまだヒーローが必要なんですか?」
「そうですねえ。いろいろと要因はあるけれど、謎の生命体、シャドウが人類を襲うようになったのが大きいです。」
「シャドウって?」
「それがですね~っまだはっきりとは解っていません。ですが今は、その出現がオラクルリーダーにより、事前に察知出来るようになりましたので。当委員会による、絶対(イージス)防壁(フィールド)の開発もあり、民間に被害の出ることは、ほぼ無くなりました。」
「そうだ、皆さん知っていますか?昔話では、悪い事をする子供はシャドウに連れ去られてしまうんですよ!」
「え~っ絶対そんなの嘘だよぅ。」
子供達が騒ぎ出す。
「ホントなんですよ~っ。もうすでにこの中から誰かいなくなっているかも?」
お姉さんがそう言うと、皆、辺りをキョロキョロし始めた。
「大丈夫ですか?みんなちゃんと居ますか?居ない人は、手を上げて~!」
「いないんなら、手は上げられないよ?」
冷静に返す少年。しかし、ピンっと小さな手が上がった。
「ハイ!たっくんが居ません!」
「・・・・えっ、えええええ~~~~!!!」
「あれぇ、みんなドコォ?」
小さな男の子が、半べそをかきながら、広い通路をトボトボ歩いていた。飾ってあるヒーロー像に見とれていたら、自分だけはぐれていたのだ。
「どうしたの?」
白い作業着に身を包んだ青年が、少年に話しかけた。岡持ちには「来来軒」とある。出前の途中のようだ。
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