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風蝶と冷華は炎龍の能力に疑問があった。身体系の能力なのはわかるが、色々おかしいのだ、色々。
「たしか、炎龍の能力名って、なんだっけ?」
雷鬼が今更なことを聞いた。
「『一騎当千(マーチレス・ウォーリアー)』な。身体系の能力で、自分が刀だと思ったものを持つと、粗方のものを切れるんだってよ」
「えー、なにそれ怖い。やめてください、死んでしまいます」
雷鬼が真顔で言った。
「ざけんな!!こらぁ!!」
炎龍が竹刀を振り下ろしたが、雷鬼に避けられ、電柱が縦に切れていた、文字通り縦に。
「……やべぇ……」
雷鬼と炎龍は慌てる様子は無いが、内心焦っていた。
「どーすんの?」
風蝶は雷鬼と炎龍の方を見た。
「仕方ない、やるか」
雷鬼は両手を電柱に左右から挟んだ。それと同時にバリバリと雷が鳴り響き、切れた電柱が繋がっていった。
雷が鳴り終わると、何事もなかったように電柱は直っていた。
「よし!」
雷鬼は満足そうに笑ったが、すぐにだるそうにした。
「雷鬼、今の何?」
風蝶は目が点だった。
「さて、お三方。ここで問題、物質は主にどういう原理で作られているでしょうか?」
「なんだよ?雷鬼、急に」
炎龍は面倒くさそうな顔をした。
「あー、雷鬼の得意分野考えると化学式だっけ?冷華ちゃん?」
風蝶は自信がないため冷華に振った。
「あー?違えよ、風蝶。電子結合だったっけ?雷鬼」
冷華は渋々答え、雷鬼に聞いた。
「そ。簡単に言えば電子結合。炎龍がスパッと綺麗に切ってくれたから短時間で治すことができたんだ」
雷鬼は満面の笑みで答えた。
「なぜ出来た、雷鬼さんよう?」
冷華が呆れながら聞いた。
「雷鬼、あんた雷と力だけじゃ無いっけ?」
風蝶は怪訝な顔で雷鬼を見た。
「だから雷で無理やりつなげたんだよ。雷っていうか電気は電子の移動のことだろ?まぁ、詳しく言うなら」
雷鬼は呆れながら答えた。
「ストップ!」
冷華は時間が掛かる事と思い雷鬼の言葉をふさぐ。
「雷鬼?これでもう、特異能力者宣言してもらおうかな?」
風蝶が意地の悪い顔をしながら雷鬼を見た。
「え?風蝶、なんで?」
雷鬼がとぼけた顔をした。
「どう見ても特異能力だろ!雷鬼!」
炎龍が叫んだ。
「わかったよ、炎龍くん。どっちにしろ、時間的にやばいから、ばれるだろうしねぇ」
雷鬼は呆れたように携帯の時計を見せた。時刻は七時四十分。時間的にギリギリだ。
「あ…」
場が止まる。
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