0人が本棚に入れています
本棚に追加
「おみゃーら、急ぐぞ!!」
冷華の言葉と共に四人は駆け出した。
「なんで冷華ちゃん、名古屋弁なの!?」
風蝶が叫んだ。
場所は変わって中等部校舎・一年B組教室
「砂龍君。今日の奴出るの?」
水色の髪の少年・水空水龍がオレンジ髪の少年橙空砂龍に話しかけた。
「あ、水龍。でるけど?なんでだ?」
砂龍は窓に寄りかかっていた。
「今日こそいるといいよねー?雷鬼先輩」
水龍はにやりと笑った。
「まぁ、雷鬼さん次第だから何とも」
砂龍は雷鬼と小さい頃から知り合いだからか、言わない訳も知っていた。
「砂龍君つまんなーい」
水龍は口を尖らせながらブーイングした。
「うるせえよ」
砂龍は呆れた顔をした。
「ん?」
あたりというか、校門側が騒がしくなった、そろそろ例の時間だ。
特異能力者(ただし身体能力が高い者も含む)達が一斉に空から舞い降りてくるからだ。
場所は戻り。中等部校舎校門付近。
雷鬼達四人は走っていた。炎龍・雷鬼を追うように、冷華・風蝶も走っていた。
周りの人間も走っていたが、雷鬼達クラスの人間もちらほらいた。
「あれ?黄月そんなに速く走れんのか?」
クラスメイトの鈴野平太が話しかけた。
「あ、おはよ。鈴野君。あんまり長く走れないよ」
雷鬼はそのまま、平太を抜いた。
「そろそろ、門閉しめますかね?」
体育教師・緋田陽彦は腕時計を見ながら考えていた。
「まぁ、閉めても無駄でしょうね」
美術教師・魚澤弥生はこれから起こる事が分かっていたので、陽彦先生と一緒に閉めた。
「あー!!」
閉まる門、焦る生徒、しかし次の瞬間生徒達は門を飛び越え始めた。
炎龍、風蝶、冷華も難なく飛び越え、残るは雷鬼だが、周りは心配していた。
「黄月諦めろ!!」
陽彦先生が叫んだ。しかしその叫びは意味がなかった。
「よっ!」
雷鬼は思いっきり高く飛び上がり、門を飛び越えながら四回転ひねりして見事に着地。
「じゃん!」
雷鬼は見事に着地して両手を挙げた。
「……」
特異能力者じゃないはずの雷鬼が二メートルはあるはずの門を飛び越えた挙句、新体操の真似事までしたことに、特異能力者と知らない同級生達は驚きを隠せなかった。
「さて教室急ぐぞー!!」
雷鬼は高らかに叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!