第一夜「導き・戦い・理解」

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「大体こんな感じです、まぁ、さっきの直したのは、『紫電一閃(エレクトリック・ムーブ)』の変化技です。  理科の授業中に思い付いたので試しにやったら成功したので、情報処理に時間が掛かるのが難点ですけどね」 雷鬼はそう言い伝えると席に座った、何事も無かった様に。 「おい、黄月」 高塚達人が雷鬼に話しかけてきた。彼は少し荒れていて、普通の子なら怖気づく。しかし雷鬼は気にしていなかったが、嫌な予感はしていた。 「なに?」 「充電させて」 充電コードを雷鬼に見せながらきりっとした顔で言う達人。 「……特異能力を隠してる理由は二つ。いじめられる可能性が一つ」 雷鬼は静かに立ち、達人が持っている充電コードのプラグに指をあてた。 「こういう、充電目的の奴がいるからが二つ目!」 雷鬼は叫びながら電気を放った、達人はちょっと焦げた。「けほ」とか言いながら、充電をあきらめた達人。 「ってか、達人君、特異能力で充電できるはずじゃない?」 雷鬼は達人の能力『西風の災害』のことを知っていたのだ。 「え、できんの?」 達人は少し驚いた。 「だって、天候操作系でしょ?雷だって扱えるはずじゃないの?」 「あ」 達人は納得いった顔をした。 「災害って付いてるからってっきり、雷も入ってるはずと思ったのだが……」 「忘れてたというか、思い付かなかった。あんがと、黄月」 達人はどこかで見たことある顔をしながら照れた。 「あ、うん。どういたしまして、達人君」 雷鬼は呆れてものも言えなかった。しかし雷鬼も人のことは言えない。 「でも黄月の珍しいよね、二つの力なのに一つの扱いって」 遠野渚がひょっこり話しかけてきた。 「あ、遠野さん。名前は銃が好きって言ったら二装式ってなったんだよー。ってか、自分で決めた」 「え、まじ?それなら変えようかな?能力名」 渚は驚きを隠せなかった。勝手に決められたと思っていたからだ。 「あれ?遠野の特異能力名ってなんだっけ?」 竜斗が聞いた。 「え?竜斗君。破魔ノ力(マジック・ブレイク)だよ?」 竜斗の問いに怪訝な顔をした渚。 「へーたしか、妖怪退治とかできるんだよな?いいなぁ…」 雷鬼は羨ましそうに渚を見た。 「黄月。あんた昔、してなかった?」 雷鬼の実家のことも聞いている渚は呆れていた。 「ソンナコトワスレマシタ…」 ロボットのように片言で答えた雷鬼。 「こいつは…」 呆れる竜斗や渚達。
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