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「ところでよ、いつも何してんだ?ここ?」
雷鬼は今回が初めての特異能力者検査室なので何をするかが分からなかった。
「特に、何も」
「しゃべったり、宿題やったり」
「好きなことやってもいいんだって」
「へー」
雷鬼は竜斗達からの説明を受け、おもむろにノートと筆箱を出した。あと下敷き。
「何やるんだ?」
「化学式のまとめと、元素について」
雷鬼は本も取出し黙々と書き始めた。伊達に化学が好きと言っていない証拠だ。
「鉄・Fe・26・・・原子半径126pm・・・」
雷鬼は黙々と書いている。それを見た竜斗・正兎・優利の三人もそれぞれノートを出し、それぞれのやる事を書き始めた。
「この前はあれ作ったから・・・」
竜斗はもう一つ、『死神の目(ゴッド・デス・ザ・アイ)』。
この力は他者や物の死期が分かり、線や点が見えるという恐ろしい能力だが、自分の任意で見えたり消えたりする。
「えーっと・・・これは…」
正兎は英語の宿題を済ませようとしていた。
「そう言えば、雷鬼君、最近妖怪見たとか言わないね」
優利は数学の宿題を終わらせようとしていた。
「見る前に、俺から逃げてる。ってか、優利は妖怪とか見れたっけ?」
雷鬼は優利が霊感あるとは思っていなかったので一応聞いてみた。
「え、耳の尖った緑色の変な人とか?」
「それ、ゴブリンや…日本にいるのか…」
雷鬼はそんなもんが日本にいるとは思っていなかった。しかもこんな辺鄙な場所に。
「和製のゴブリンじゃねーのか?」
竜斗が口を挟んだ。
「そういえば竜斗君。その緑の人、関西弁喋ってた」
「いくら、思いとか執念とかで妖怪が生まれるからって、なんで関西…」
雷鬼は何故か呆れていた。
「雷鬼、なんか来るんじゃない?」
風蝶が突然話しかけてきた。
「風蝶、何がだ?」
雷鬼は、胸騒ぎがしていたが、気にせずにいた。
ガタガタッ…
突然教室が揺れ始めた。
「!?!?」
突然の揺れに、地震と思う者。笑いつつも心配してる者。心底穏やかじゃない者。
揺れは続いている、しかし、揺れ方がおかしい、長すぎる。しかしそんなに揺れは大きくない。
突然、揺れが止まった。ぴたりと。
「??」
雷鬼は妙な揺れに驚いたが、地震という事にしておこう、そう思ったのだが。
「みんなどうしたの?」
先程まで席を外していた弥生がやってきた。セリフがおかしい。本来だったら、『みんな大丈夫?』とか言うはずだが。
「え?地震あったんですけど…」
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