身近な君へのホワイトデー

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玄関を開けると、そこには不機嫌な美奈がいた。 『2日目のカレー食べに来た…』 「どうぞ…」 部屋に入っても不機嫌な美奈を見てると不安しか湧いてこない。 あっためたカレーを差し出すと、『やっぱり私って天才?』 笑顔で聞いてくる。 百面相か! 「うん。昨日は泣きながらカレー食べててんけどな…」 … スルーですか… 「ウソ…」 思わずウソって言ってしまう。 美奈といるとジェットコースターに乗ってるみたい。 上げられたり落とされたり… 『今日1日ボーッとしてたやん。 昨日の事凹んでんの?』 「あたりまえやろ… だって、美奈に嫌われたと思ったから…」 『そ…』 そ…って… 俺、『そ』が嫌いになるわ。 これから『そ』を抜いて喋ってやろか! お好み焼きース、トンカツース、ウスターース… 『ーーってどう読むん? で、なんでソースばっかりなん!?』 「えっ?独り言聞こえてた?」 『バリッバリ…』 そう言いながら笑う美奈にホッとする自分がいた。 『まぁいいから、明日はちゃんと仕事しぃや。 みんな今日は心配してたから…』 みんな… 美奈は? 「うん。頑張る」 単調な返事しかできなかった。 『今年のホワイトデーは毎年みたいにマシュマロとかなしやで。 期待してるから。』 「何がいいの?」 『さぁ?自分で考えて。』 「じゃあ、吉野家の丼鉢探しとく…」 『言うたで。他のやったら返すから』 なんかこうやってふざけられるだけで、自然とやる気スイッチが入っていた。 気が付けば、勝手に風呂に入る美奈… 風呂から上がると、俺の大事なチョコに手をかける。 『いつまで置いとくん?』 そう言いながら、蓋を開けようとする。 慌てて取り返すと… 『剛はうちの事好きなん?』 上目遣いで聞く美奈にドキンと心臓が跳ね上がる。 「そうやで。」 言うてもた。 『はい。キモいー!』 笑顔で言いながら、ベッドに入った。 はぁ?美奈ってほんまに意味わからん… そして今日も悶々としながらソファで寝る。 いつか襲ってやる。
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