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皆が見てる前で、ドカドカと歩いて美奈がやってきた。
『さぁ、言い訳を聞いたるわ。』
「いえ…
言い訳も何もございません。」
怖え…
助けて…
『じゃあ、何言うたん!』
「言えません。」
周囲の目は、何が何かわからず見てるだけ…
『じゃあ私、もう口聞かん。』
「いずれ話します。」
『いつ!?』
「いつか…」
『あんたがトイレ行ってる時、あの役員の人、うちに何言うたか知ってんの?』
「えっ?」
そんなん知らん…
『今度、俺が満足させてやろうか…
なんでそんなん言われなあかんの!!』
「えっ?
それほんまか?」
『ほんまやから怒ってんねやろ…』
そう言って、美奈は泣きながらしゃがんでしまった。
許せん!
あいつ絶対許せん!
俺は、そのスーパーに走り出した。
「未来通信は、困った人のためのシステムです。
人を大事に出来ないスーパーなんかでこのシステムを使って欲しくない。
今までの話、なかった事にしてもらいます。」
そう言って、導入したシステムを全てアンインストールして帰ってきた。
会社に帰った俺に待っていたのは、山下部長のお叱りだった。
お叱りだけなら良かったが、退職願を書くように言われた。
3月末までの、未来通信のノルマをかけられ、達成出来なければ退職願を受理すると言われた。
『仲間を侮辱する会社と付き合わないといけないなら、いつでも辞めてやります。』
「仲間か?愛する人の間違いじゃないんか?」
…
言い返せない。
…
『悪いですか!』
居直るしかなかった。
「まぁええわ。
どっちにしても、3月末…
楽しみにしてるわ。」
山下部長は俺をそう吐き捨てた。
悔しくて、悔しくて…
俺は初めて会社で涙を流した。
ごめん…美奈…
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