身近な君へのホワイトデー

19/38
前へ
/38ページ
次へ
2月28日金曜日 朝一番、受付から電話があった。 「高田とおっしゃる方が未来通信の件で、宮下君と社長か上司の方とお会いしたいと言うことですが…」 高田?誰? 思いあたる高田という人… トラブルを起こした大手スーパーの社長ぐらい。 もしその人だったら、俺は終わりやな… エレベーター前まで迎えに行く。 エレベーターが開いた時になるチーンて音は、俺の人生終了の音に聞こえた。 高田社長… 「宮下君。お出迎えありがとう。」 「どうぞこちらへ」 応接に通し、山下部長へ報告と同席のお願いに向かった。 高田社長の説明をした途端、山下部長の顔色が変わるのがわかった。 「お前…他の取り扱いまで外されたらクビじゃ済まんぞ…」 そうやろな… 背中にゾクゾクと冷たいものが走る。 血相を変えた山下部長は、応接に向かう。 部屋に入るなり、「この度は、うちの宮下が大変ご迷惑をお掛けしました。本来なら私共がお詫びにお伺いしなければならないところを、社長自らお越し頂きありがとうございます。」と深々と頭を下げた。 「いえいえ。 今日はその事で参ったんです。」 「本当に申し訳ありませんでした。」 もう一度頭を下げて、高田社長の次の言葉を待った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加