身近な君へのホワイトデー

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「なぁ?美奈ちゃんからこれ義理チョコってもらったんやけど… ちょっとは脈あるんかなぁ?」 同僚に呟く俺は、29歳の平凡サラリーマン。 チョコをくれた美奈ちゃんは、一つ下の後輩。 新人の頃教育係をして、果敢に挑み続け…たった3ヶ月の研修で2度振られている。 それでも、渉先輩や中山部長の愚痴聞いては、愚痴を聞いて、3日と空かずに愚痴を聞いてあげる… そんな可愛い後輩… あっ…一つ言うておくと、性格悪くて愚痴ってんじゃないから。 何ていうか、大阪的に面白おかしく話してるだけ… そしてちょっとSなだけ… だから会社では、宮下先輩って呼ぶ癖に、会社を一歩出ると洋(ひろし)、機嫌がいい時、ご機嫌取りをする時は極々たまにひ~君、怒ったり機嫌が悪いと正夫とか太郎とか2時49分とか…名前すら言ってくれない… えがちゃんより1分程足りてないらしい… 何が? もう一回言うけど、性格悪いんじゃないで… ちょっとだけ、自由人なだけ… そして、毎年義理チョコって言ってくれる。 今年は… 『ひ~君♪』 何か期待してまうよな… 「おう。どしたん?」 やべ、いきなりのひ~君に顔がにやけてる。 『キモ!何にやけてんの?』 「だって、ここ会社やぞ…」 美奈とはもう6年になるが、会社ではひ~君は始めて…自然とにやけしまった。 『もうええわ… どうせ、先輩今年も!チョコないやろから、義理チョコあげるわ。 感謝しぃや。』 はぁ… 今年も!って、もを強調するな… 「うるさい!はよかせ!」 そい言って持っていたチョコを取り上げるようにもらった。 もう何年も同じ事の繰り返し… べぇっと舌を出して去って行く美奈… そう。俺たちは、先輩後輩以上の関係でありつつ… 友達以上恋人未満の関係なのだ。
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