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高田社長を玄関まで見送って、部署に戻った俺は、気が付けば皆に囲まれていた。
おめでとうやら、良かったなぁとか、褒めちぎられていた。
そんな中、1人違う言葉を掛ける奴がいた。
美奈…
その言葉は…
「ありがとう。」
周りの声がかき消されたような錯覚に陥るぐらい、俺には特別の一言。
「お前のためにやったんじゃない。」
素直じゃない俺…
照れ臭くて…
本当は、美奈がいるから頑張れた。これまでも、これからも…
ありがとう。と伝えるべきなのに…
「そ…」
久々に出た俺の嫌いな『そ』
ちゃんとお礼言わんと…
今夜、ご飯でも誘うか…
あっ!すぐに仕事にかからないと…
あっと言う間に夕方…
「終わりそう?」
美奈が心配して声をかけてくれる。
「終わらんから持ち帰りにするわ。
飯でも行くか?」
「行ってあげてもええよ。」
「えらい上からやな。」
「うん。偉いから。」
また笑ってる。
最近俺の前でよく笑ってくれる。
「じゃあ後でね…」
くるりと自分の席に戻る美奈を目で追いかけている…
あっ。さっさと片付けよ…
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