身近な君へのホワイトデー

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今俺は同期の山下といる。 「なぁ?美奈ちゃんからこれ義理チョコってもらったんやけど… ちょっとは脈あるんかなぁ?」 「お前らって、ず~っと仲良い割にくっつかないよなぁ… 2回フラれたぐらいで何弱気になってんねん。 しかももう6年前の出来事やん。」 「せやけど何て言われたか知ってる?」 「知ってるって…」 山下はゲラゲラと笑い出した。 あぁ…思い出したくもないのに… 「山下!お前ほんま怒んで!」 「すまんすまん… もう言わんから! 生理的に… ブハハハハッ」 あぁもうあいつのせいや! 山下を睨みつける。 「すまんすまん。 3度目の正直で告ってみたら?」 まだニヤニヤしながら言う山下やけど、俺も美奈も30歳に近付いている。 今なら、ひょっとして… あれは2回目の告白だった。 「宮下先輩…」 大人しくなって俺を呼ぶ美奈に、鼓動は高鳴り、次の言葉を待っていた。 『やっぱり生理的に無理。 だって、先輩とそっくりな子供生まれたらかわいそう…』 俺の方がかわいそうやし! 入社3ヶ月でこのフラれよう。 こんな事言われて立ち直れる訳がない。 そう思っていた。 『でも先輩。 色々教えて欲しいし、愚痴も聞いてもらえる相手いないし… たまに飲みに行きませんか?』 美奈の入社の時、不況で採用はたった3人。 そして女子社員は美奈だけ。 そして、不景気に人を雇った以上、お茶汲みとかは必要ない。 外でバリバリ稼いでくれ! それが会社の方針で、2年目の俺に営業のノウハウを教えろと、俺の元へやって来た。
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