身近な君へのホワイトデー

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初めて見た時、俺は後輩なのに敬語になってしまった。 透き通るように白い肌。 綺麗な指… それでもって素朴な感じで、真っ黒なショートカット。 俺が好きなタイプそのものだった。 思いっきりヘタレになった… 「宮下洋です。今日から教育係になります。 色々教えて下さい。」 思いっきり間違えて、教えてもらう側になってることも気づかなかった。 『結城美奈です。 よろしくお願いします。 そして先輩。 何を教えるんですか?』 えっ?と思ったけど、すぐに気がついた。 ヤバイやん俺… 初日からアホ満開やし… 「えっ?今の一応ギャグやねんけど、今ので笑わんかったら研修期間中もう笑うところないですよ。」 『で、何からしたらいいですか?』 チーン。 無視ですか? はいはい。 つまんなくてすんませんねぇ! そんな研修が俺の長い恋の始まりだった。 その後徐々に誤解は溶けたが、いいように使われ、美奈はどんどん本性を表す。 ちょっとだけSってやつ… したたかな女は怖い… でも、初めに見た素朴で綺麗な美奈の姿が頭にこびりついて、研修中2回も告ってしまった。 今だからわかる。 生理的に無理な理由… つまらない男だった。 仕事もできないし… 男前でもないし… あの時の悔しさのお陰で今サラリーマンを続けられているのだと思う。
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