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浮かれて自宅の玄関を開けると、綺麗に並んだヒール…
漂うカレーの香り…
『おかえり、雅彦…』
「誰やねん!洋や!
それより腹減ったぁ。」
『はいはい。すぐ用意するね…』
「怖い…
ちょっとSなだけの美奈が優しい。」
『それは、未来通信のため。
私が気があるとか勘違いせんといてや…
2時48分』
また1分減ってる…
まぁ、この方がいつも通りでいいかも…
でも、俺に優しい美奈ももっと見たかったなぁ…
「いつも優しくしてくれたら嬉しいのに…」
思わずそう呟いてしまった。
『そんなん言うんやったら帰る!』
そう言って、上着とカバンを手にして玄関に走り出す。
ヒールに足を通している間に追いついた俺は、無我夢中で止めようとした。
その時、気が付けば…
後ろから美奈を抱きしめていた。
ドクドクと撥ねる鼓動。
美奈にもきっと伝わってしまっている。
どうしよ?
抱きついたはいいけど…
そう思って、少しの間が時間わ長く感じさせる。
ガン!
美奈はヒールで素足の俺の足の甲を踏んだ。
思わず、足を抑え痛がってる姿を横目に美奈は『明日会社でね。先輩。』と笑顔で去って行った。
なんで笑顔なんかわからん…
怒ってる訳でもなさそうで、今日の美奈は俺には理解不能だった。
痛む足を引きずりながらキッチンに辿り着いたが、お皿にご飯だけが盛られていた。
カレーをかけて、飲み物を出そうとしたら、サラダまで用意してあった。
美味いのに、切なさだけが込み上げる。
美奈…
俺はどうしたらいい?
食事を終えて、テレビに目を移すと…
大事に飾ってあったチョコに異変が…
Happy Valentine と書かれたハートの飾りに、『頑張って!宏!』と書かれていた。
字が違う…
でも、それが妙に笑える。
そして、これ美味しそうって思っていたピンクのハートのチョコは食べられてなくなっていた。
食べたかったんかい!可愛いヤツめ…
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