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「うぅ.........ぐすっ.........ひぐっ........」
少女は依然泣き続ける。少女はまだ悲劇を知らない。
そしてまた場面が変わる。私が1番思い出したくない記憶だ。
「おらっ、出てこい!」
牢屋に閉じ込められて1週間、随分とやつれた父と涙の枯れた少女は再び対面した。
「おか........あさ、ん........は?」
1週間、ちゃんとした食事も取らず痩せ細った少女は声を絞り出して尋ねる。父は重い口を開く。
「サテナのことか?......ははっ、あいつは体調を崩して死んでしまったよ。
まぁ、おかげでお前の始末が出来るようになったがな!!」
「し.......んだ?」
少女は父の不快な笑みを見て直感的に理解した。母は死んだのではなく殺されたんだと。
「あぅ........う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「なっ、なんだ!?」
その時、何かが切れる音がした。
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