第1話

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 二度目に来店したときは晴れていて、傘を返すついでに、と二杯カクテルを飲んだ。  カクテルを二杯飲んだ理由を彼女は、 「あたし、バーについて色々調べたんですよ! バーって、一杯注文するだけじゃ失礼なんですよね?」 「まあ、厳密にはね」 「だから、今日は二杯にするの。一杯目は、このまえのチョコレートのカクテルでお願いします」  悠は、ゴディバミルクが気に入ったらしい。二杯目は、黄色のカクテルがいい、というのでアプリコットのリキュールをマンゴージュースで割ったカクテルを提供した。  その帰り際、雨が降りはじめた。 「君、ツいてないね。さっきの傘、また持って行きなよ」 と私が言うと、 「大丈夫です。今日はちゃんと自分のありますから」 と彼女はバッグの中から折りたたみ傘を取り出した。
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