第1話

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「カクテルブックで? それなら実際には飲んだことないんだよね?」 「そうです。それに、あたし他のバーには行ったことないんですよ。だから、ここで作ってもらおうかなって」 「なんでカクテルブックを読んでるの?」 「ここに通ってから、勉強してるんです。前も言いましたけどね」 「ああ、そういうことね。それじゃあ忠告するけど、レインボー美味しくないからよしたほうがいいよ」 「ぜったい」と、言って悠は笑い、また続けた。「作れないから、言ってる」  この一言により、自分は制止するのを諦め、レインボーを作るのに取り掛かった。 「あっ、ムキになってる。バーテンダーさん、顔にすぐ出るんですね」 「ごめん。これめちゃくちゃ神経遣うから黙ってて貰ってもいいかな」  リキュールグラスをカウンターに置いて、最初の材料のグレナデンシロップを沈めた。
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