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斗真「いっそのこと付き合ってみりゃいいじゃん。世界観変わるよ多分」
敦子「そんな簡単な事じゃないでしょ」
敦子は斗真を置いて先に教室へと歩いていく。斗真はそのやや後ろを歩いてついていく。
斗真「……まだ忘れらんない?」
敦子「………」
斗真の問いに敦子は無言を貫く。なんの事かハッキリと分かっていたからだ。
斗真「キツい言い方になるかもしんないけどさ、いい加減過去に縛られて生きていくのはよせって」
敦子「……分かったようなこと言わないでよ」
斗真「ハァ…はいはい、そうですか」
説得のつもりが逆に敦子を不機嫌にさせてしまった。斗真は頭を掻いてため息を吐いていた。
敦子には、生まれた時から一緒に育った幼馴染みの少年がいた。
少年とは相思相愛で彼の存在は敦子にとっての生き甲斐で心の支え。
将来を共に生きると誰もが思っていた。
3年前、不慮の火災事故に巻き込まれ死別するまでは。
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