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それから約一時間、敦子はその墓石の前で留まり続けた。会いに来るのも別れも辛い。
それでも目に見えない純平に会いに来るのは過去の幼馴染みに依存しているから。
純平の居なくなった今の刻を受け入れたくない、受け入れられないから。
敦子「また来るね」
鞄を背負いお寺を後にする。帰りのバスに乗り最寄りのバス停に向かって走るバスに揺られる敦子は後部座席の窓ガラスから外を眺めていた。
その時だった。
暗いはずの寺の森林から広範囲に渡って光が見える。
灯りや祭り事ではない。
大切な幼馴染み、純平を奪った炎だった。
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