会議録3。

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ウィルと過ごし始めて1週間ちょっと。 この1週間ほど短く感じられた時間はなかった。 夏休み最後の時間を使い、日本に来たのにまだ全然満喫出来ていないと言うウィルをそこら中連れ回してやった。 神社に行って朱印帳を作ったり、近場にある日本式の城に訪れたり、下町に並ぶ日本家屋を見に行ったり、とにかく興味を持ちそうな場所へ行きまくった。 疲れました、それはもう。 今までの俺の人生の密度がどれだけすっからかんだったか痛切するくらいには。 最低限の見栄を張るため必死に下調べする作業が一番大変だった気もする。 でもその代わり自分がどれだけ無知だったか、人が手放しで喜ぶ姿にどれだけ癒されるか、初めて気付かされた。 なんかもう小学校の世話日記みたいなものを1日1冊書けるレベルにコイツと過ごしていると話の話題が尽きない。 それほどこの1週間が与えた影響は凄まじく、俺とウィルは生活の半分を一緒に過ごすほど仲良くなっていた。 「なぁ聞いた?今の、電車が5分遅れただけで謝るなんて何かの冗談だろ!」 「いやいや5分はデカいから」 「甘いね、イギリスじゃ20分遅れは遅れの内に入らないよ。これぞ日本だ日本を実感する」 「20!?ありえねー……」 駅のホームで電車待ち。 今日から大学が始まる。 周りの客はウィルが口を開くたびに速攻で振り返り驚愕の表情を向けてくるが、それもこの1週間で慣れてしまった。 俺だってもし客の立場だったらそんなリアクションをするさ、なんせ金髪碧眼白皙のイケメンの口から流暢な日本語が飛び出してくるんだから。 「じゃあ20分遅れたらどうするんだよ、乗り継ぎとか出来んのか?」 「もちろん出来ないよ」 「遅刻の証明書は?」 「有るわけないって。それこそ臨機応変に、だよ」 王子風スマイルで四字熟語を的確に使わないでくれ。 それにしても20分遅れが普通……。 絶対堪えられないと思うあたり俺はきっとウィルの言う一般的な『日本人』なんだろうな。 隣に立つウィルを横目で見る。 ウィルと関わることでいつの間にか楽しみになっていることが沢山あった。 こうやって外の知らない国のことに触れるというのもその1つ、何気ない会話にカルチャーショックが潜んでいるからコイツとは話していて全く飽きない。 「はーるま、どうした?俺のことジッと見て」 「イケメンだなあって」 「……そういうの冗談で言わないでくれよ」 あと照れ屋なのがちと可愛い。
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